思わぬ同居人 42
刺激的な生活を保障する
ハニの言葉は、時々普通では思いもよらない言い方をして来る。
オレの人生、お前が入り込んでからは毎日が刺激的すぎるくらいの生活をしているのだけれど、それ以上にお前は刺激的な生活を保障してくれると言うのか?
「このオレが、頭が空っぽで嫌いなタイプの女と同居して、同じ空間で毎日過ごして、クラスが端と端なのに同等に話をして、このオレが振り回されっぱなしでいるのを誰が信じる?
女に興味が無いどころか、他人に興味がないオレが、振り回されているんだぞ。
「お兄ちゃん・・・・」
「ん?」
スンジョは開いていた本を閉じて、話しかけてきたウンジョの方を見た。
「どうした?」
「テハン大・・・どうして受けなかったの?お兄ちゃんなら、センターで点数採れたのだから、行くだけで受かっていたじゃない。」
「ウンジョなら、この国で一番の大学か、学生生活を楽しく出来る大学か、どっちを選ぶ?」
「よく判んないけど、パパが出た大学だし・・・・テハン大に行けばみんなが凄いねって言ってくれるし・・・いい会社に就職が出来るけど、パパの会社に行くのなら別にどこでもいいかもしれないけど、幹部の殆どがテハン大だから・・・・でもまだ、子供だからわかんない。」
「そうだな・・・・パパの会社に行くにしても、幹部の人よりも下の大学には行けないよな・・・・・お兄ちゃんは、自分が何をしたいのかも判らないし、どう人生を過ごしたらいいのかも判らない。お兄ちゃんがそうだから、ウンジョが判らなくてもおかしくないよ。」
小さいウンジョもスンジョの進学をする大学が、テハン大ではなくパラン大にした事が納得いかないのだろう。
両親は自分の考えがあるのだから、スンジョが決めた大学でいいと言ってくれたが、担任や教頭は浪人してもいいから来年も受けろと何度も説得をした。
「どうしてと一言言うのなら、大学生活でお兄ちゃんは自分探しをしたい。」
「自分探し?」
「テハン大なら、国中から集まったエリートが行く大学で、毎日勉強をしないと直ぐに落ちこぼれてしまう。」
「お兄ちゃんでも?」
「勿論、たった一度の人生、楽しんで生きたいと思わないか?サークルに参加したり、アルバイトをしたり・・・・・それこそ、誰か好きな人を見つけたり・・・」
スンジョが好きな人を見つけたり・・・と言ったことにウンジョは驚いた顔をした。
「お兄ちゃんも彼女を見つけたりしたいの?」
「さぁ・・どうかな?もし見つけたりしたら、ママが何かしでかすと思わないか?」
ウンジョは日頃のグミの様子で、兄に彼女でも出来たら大変なことになると言う事を十分に判っていた。
ハニの言うように刺激的な生活をする為に、そんなハニが行く大学に進学をしてもいいかと思ったとは、とても弟に言えることではなかった。
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