あなたに逢いたくて 81

時々、うっすらと目を開けるスンハは、スンジョとハニが揃って自分の傍にいることを確認すると、嬉しそうに笑ってまた目を閉じる。

「スンハ・・・スンハ・・・オンマを独りにしないで・・・・・・もう・・・・一人は嫌なの・・スンハ・・・・・」

ハニの切実な言葉に、スンジョは鋭い刃物がと胸に刺さるくらいに痛かった。

ハニが傷つき苦労をして、スンハがブランコから落ちて怪我をした事全てが、自分の所為だ。

親のため・・会社や社員のため、そう思って選んで決めた。

自分が決めたことが間違いではないと思っていたこと自体が間違いだった。

スンジョは震えながらスンハを抱いているハニを包み込むように抱きしめた。

「大丈夫だ・・・・スンハは大丈夫だ。もうこれからは、ハニ独りで何もかもを抱え込まなくていいから。ハニが嫌だと言っても、オレはもうハニからもスンハからも離れないから。一緒に暮らした四年間のハニの行動が、オレにも自然と馴染んでいるから、五年経ってもそれが消えることがなかった。もう・・・・独りにしないから。絶対に・・」

パラン大学附属病院___________

「ペク医師のご両親ですね、お孫さんを担当します外科のナです。もうすぐペク医師とお孫さんの乗ったヘリが到着します。」

ギドンからスチャンの携帯に連絡があり、スチャン・グミ・ウンジョの三人が、スンハが怪我をしてパランに運ばれて来ると聞いて病院に駆けつけて来ていた。

「ギドン・・・・」

ギドンも、三人より少し遅れて病院に到着した。

「スチャン隠していてすまない・・・・・スンハと言うのは・・・・・」

「ギドン・・・こっちこそ、知らなくてすまなかった。妻に聞いて・・・・・・兎に角、無事を祈ろう。」

ギドン達が、病院に着いてから15分程して、静かだった病院が慌ただしくなってきた。

「スンジョ達が着いたみたいね。」

バタバタと足音がする方を見ると、白衣が血で汚れたスンジョと、泣きはらした顔のハニが、ストレッチャーと一緒に走って来た。

血にまみれた白衣で近づいて来たその姿に、三人を待っていたギドン達は驚いて声も出せずに呆然としていた。

「お・・・・お兄ちゃん・・・・・・・」

「お袋・・・・・親父・・・・おじさん・・・・皆・・どうして・・・・」

「スンジョ君、母のギミから連絡があってスチャンに連絡をしたんだ。」

「お兄ちゃん、スンハちゃんはどうなの?大丈夫なの?」

「後から・・・後から話す。ハニを頼む・・・かなりショックを受けているから。」

スンジョはハニをスンハの傍から離そうとするが、スンジョにしがみ付くようにしてスンハから離れるのを嫌がっていた。

「嫌・・・・嫌・・・・・・スンハ・・・・スンハ・・・・・」

そこに家族やパラン大の医師や看護師たちがいても気にしないで、そんなハニをスンジョは優しく抱きしめながら背中をトントンと叩いた。

「スンハは大丈夫だ。怪我の状況を見る為に、MRIとCTを撮るだけだから。すぐにオレも戻って来るから、ここでお袋達と待っているんだ。いいな?オレがスンハに付いているから。スンハが気が付いた時に、お前が今の状態だったらスンハが不安がるから。皆と一緒にここで待っているんだ。」

スンジョはハニをグミに頼んで、ナ医師たちとERに入って行った。

「ハニちゃん・・・・・大丈夫?白衣が汚れているから、スンジョが戻って来るまでに着替えて待っていましょうね?シャワールームの使用も許可して貰ったから、髪の毛も身体も綺麗にして待っていましょう・・・・・・・ね?」

「おばさん・・・・・・・おばさん・・・・・スンハが・・・・・・・・」

「大丈夫よ、お兄ちゃんが付いているから。ギドンさんも見えてるのよ安心して・・・・さあ・・私がそばに居るから綺麗にしてきましょうね。」

大好きなグミに抱えられるようにして、ハニは着替えに行った。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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