思わぬ同居人 67

『ウンジョが退院するからハニと一緒に迎えに行って欲しい』とお袋に言われて仕方なくハニを連れて来たが、どうしてハニがウンジョの退院に来る理由があるんだよ。


「どうも、お世話になりました。みんなも早く良くなってね。退院しても、早く良くなるように神様に毎日お祈りをするから。」

 神様にお祈りね・・・・

 お前はいつから・・・・まあ、いいや・・

どうせウンジョが車の中でその辺りの事を言うだろうから。 


「おい!馬鹿オ・ハニ。」 

「バ・・怒りたいけど、今日は退院の日だから我慢をするけど、意外と元気そうで良かった。」

 「ところで・・・何だよ、さっきの!」 

「さっきの?」

 「どうも、お世話になりましたぁ~・・・お兄ちゃんの奥さんにでもなったつもりかよ。」 

「まさか・・そんなつもりじゃ・・・」

 「毎日お祈り?お前、熱心なキリスト教信者だったか?」 

「それは社会事例で・・・・」

 思った通り、ウンジョはハニ言ってくれたよ。

 ふたりとも同レベルだからな。 


「ハニ・・・社会事例じゃなくて、社交辞令だ。小学生から勉強をやり直しだな。」 

後部座席から身を乗り出してハニをからかうウンジョも、自分を助けてくれたハニに感謝をしているはずだ。 

急激に予想もしない吐き気と強い腹痛で、親父とお袋がゴルフ旅行に出かけて、そばにいないと思った時は死ぬほどの辛さだったに違いない。

 幼い息子を置いて旅行に行こうと思った自分が悪かったと、自分を責めて泣いていたお袋。 


それなのに、何だよ、この垂れ幕は!


「今日からまたハニちゃんが、ペク家に戻って来てくれたお祝よ。」

 全くこの母親は、自分の息子の退院祝いよりも、ハニが戻って来てくれたことの祝いの方が大切なのか。

 と、声に出して言いたいが、お袋が笑って親父もお袋が元気になって嬉しそうにしているし、家の中が明るくなって良かった気もする。

 静かだったひと月から、一気にまた元のにぎやか過ぎる毎日になるけど、こんな毎日が嫌じゃないと思うオレも、お袋や親父やウンジョと同じように、ハニがこの家にいる事に知らず知らずのうちになれていたのかもしれない。  


「おい!風呂が空いたぞ。」

 「ありがとう!」 


静かで変化のない生活を18年続いていて、いきなり他人と同居になった生活に変わって、目障りだと思っていたハニが、我が家の灯りのように家の中を明るくしていてくれる。 

ハニを見ていると自分は何をしたいのか、したい事があるはずなのに何をしたいのかを知りたいと思う様になっていた。 


ただ、何か一つまだ気が付かなければいけないのだけど、それが何なのかが判らない。 


 「スンジョ君、入っていい?ハニ特製のコーヒーをお持ちました。」

 「何がハニ特製だ。駅前の店で買った豆だろ?」 

「そうだけど、スンジョ君の為に選んでスンジョ君の為に買った豆だから、普通に豆と言うのが嫌だと思わない。」 

「別に・・・」

 コトンと、マグカップを置くと、ハニが何かを思い出したようにポケットから一通の封筒を出した。


「同窓会だって。行くでしょ?」 

「行かないよ。面倒だから。」 

オレがどんな気持ちで、高校時代の連中と会うんだよ。

 希望の進学先の自慢話をして、何が楽しいのか大きな声で笑うのも煩わしく、適当な時間になったらこっそりと帰っても判らないだろう。 

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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