思わぬ同居人 68
来る気も無かった同窓会。
ドレスコードなんてそんなのどうでもいい。
オレは自分でパラン大に行く事にしたが、1クラスの殆どは自分の考えではなく親の希望する大学に進んだ。
親が弁護士だから、法学部。 親が医者なら、医学部。 親が会社経営者なら、経営学部。
それも、親の母校か海外の名門大学に行けと言われたら、そこを目指してただひたすら勉強をする。
それならオレは親父の母校のテハン大の経営学部に行けばよかったのか。
「おいスンジョ、お前さっき7クラスのオ・ハニに家の鍵を渡していたけど、まだ一緒に住んでいるのか?」
「結局、大学も同じで家も同じだから付き合う事になったとか?」
「ハニはまだオレの家にいるけど、オレは家を出たよ。」
人の同居事情を聞いて何を勘ぐりたいのか。
聞きたいだけ聞いて、あれだけ馬鹿にしていた7クラスの女子と酒を飲んだり喋ったり・・・ 顔を近づけて話をしたり。
親の言うとおりに希望の大学に行って、産まれた時から決まっているレールを歩くと判っているから、そんなに簡単に決まる自分の人生に悩んだりしないのだろうか。
オレに言いたいだけ言って、離れて行った1クラスの連中。
高校生の時のクラス分けなんて意味があったのかと言うくらいに、1クラスから7クラスまでが混ざって、どこがどのクラスの参加者なのかさっぱりと判らない。
判らないのはオレ自身が、この同窓会をどうでもいいと思っているからだ。
人が言うように、親が望むように、親父の会社を継げばいいのか?
さっき誰かが言っていたよな。
「お前の親父の会社は、うちとは比べようがないほどに大きな会社だ。何も苦労しないで大学をただ出るだけで、入社後は理事の一人としての肩書で羨ましい。うちは会社を持っていても、お前の家みたいに従業員も少ないし、上場もしていない。一つ仕事を失敗したら、倒れてしまうくらいに危ないかもしれない。」
それでもみんなは親の会社に自信を持っている。
オレも親の会社に誇りを持っていても、その仕事に就きたいと思わないし興味もわかない。
オレがやりたいと思ったことは何だろう。
ハニが言ったオレのこの頭を人のために使う? 考えてもいなかった。
「待ってよ!スンジョ君、コートを忘れて帰ったでしょう。」
「気が付かなかった・・・・」
いつもと違うオレにハニは心配そうに顔を眺めていた。
そんなハニもいつもと違う表情をしている。
「スンジョ君、悩んでいることがあったら話してみない?人に話すだけでも気持ちが軽くなるよ。」
いつもと違うハニのその言葉に、胸につかえていた物が吐出せそうに思えた。
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