思わぬ同居人 70

医学部に移ってからは、二年間理工学部で勉強をしていたから、一年から医学部で勉強をしていた学生とは新学年になって直ぐとはいえ、最初から勉強の遅れはかなりの量だった。

 大学の講義の時間はもちろん、講義と講義の間の空いている時間に、図書館で勉強を必死でしても追いつくのはたやすくないが、コレがやりがいがあると言う事なのか、初めて勉強をすることが楽しいと思っていた。


 それくらい楽しく勉強をして、週に一度は実家に帰って家族と夕食を共にすることも忘れていた。 


♪♪ 

サイレントにしていた携帯が着信を知らせる振動が聞こえた。

 「お袋?なに?」 

<何じゃないわ、最近来ないでしょう。今日は、夕食を食べにいらっしゃいよ。ハニちゃんと一緒に帰って来るのよ。>

 「判った、判ったよ。今、図書館なんだ、電話は切るから。」


 グミからの電話を切った時に、書棚の方から女の子の悲鳴が聞こえた。

 その声は聞き覚えのある声で、殴り合いをしているのか言い争う男の声が聞こえた。 

人の間から見える長い髪の女の子。

 その女の子がハニだと言う事に直ぐに気が付いた。

 「ジュング・・・止めて・・・ギテ先輩・・・」 

騒がしい方に向かって歩いて行くと、はっきりとその女の子がハニだと確認が出来、喧嘩をしているのがジュングと法学部でテニス部を休部しているギテ先輩だった。


ギテ先輩は最近留学を終えて大学に復学してから、毎日のようにハニに付きまとっていた。 

その付きまとっているギテ先輩に我慢が出来なかったジュングが、いきなり殴りかかったことが喧嘩の始まりだと、最初から見ていた学生が話していた。 


「図書館で何をしているんですか。喧嘩をするのなら外の広い所でしてください。他の人に迷惑です。それに、二人には悪いでけどハニはオレ以外には興味がないのでね・・・喧嘩をしても殴られた痛みがするだけですよ。」

 「スンジョ君・・・・」 

スンジョが喧嘩を止めに来てくれたことに、ハニはホッとした顔をした。 

「ハニ、今日は家族揃っての夕食の日だから、一緒に帰って来るようにとお袋からさっき電話があった。」 

「そう言えば、朝おばさんがそう言っていた・・・・」

 「帰るぞ。」

 喧嘩を止めたジュングとギテは、スンジョに腕を掴まれてその場から離れて行くハニを黙って見ていた。 


「スンジョ君、私はギテ先輩もジュングもいい人だと思うけど、それだけだから。」 

「別にお前が誰と付き合おうと、オレには関係はないけどね。」 

「一応、スンジョ君に言っておかないといけないと思って。」 

「お前はオレの彼女でもなければ、オレはお前の彼氏でもないから、自由に恋愛をすればいいだろ。」 

傍から見れば、好きな女の子が別の男に興味を示していると思えるかもしれない。

 ハニのことは嫌いではないが、特別な人でもない。

 オレにとってハニはただの同居人で、それ以上の感情は持っていない。  

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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