思わぬ同居人 104
ハニはジュングに話が出来たのだろうか?
大学にいる時は、食堂ではよくないからとどこかで話したくて呼び出しの電話を掛けても、掛かっているのは判っているはずなのに、電話に出ないと言っていた。
「オレが話しておこうか?」
「これは私の問題だから、私がちゃんとジュングに話すわ。スンジョ君はヘラには話したの?」
ハニは自分の事よりも相手を思いやる。
これがオレの頑なな心を開いたのだ。
愛おしい・・・
「スンジョ君?・・・ここ大学だよ・・人が見ている・・・」
「ごめん・・・」
愛おしい・・とはこんな気持ちなのだろうか?
思わず両手でハニの頬に触れたくて、ここが大学だと忘れていた。
「どうしたの?」
「ヘラは自分から話すとは言っていたが、会社の絡みでの見合いだったから、それではいけないと思ってユン会長に電話をしたんだ。」
「ユン会長と電話をしたの?」
「ヘラがもう話したのか、電話は繋いでもらえなかった。」
それがどういう事なのかハニにはすぐに判った。
多額の融資援助をしている会社の会長を怒らせて、その援助の契約は白紙になったりしたら、スチャンの会社はゲームの発売が出来なくなる。
ゲームを開発して発売するまで、どれだけの資金がいるのかハニには判らないが、それがダメになったらどういう事になるのかは判っていた。
「どうするの?」
「会ってくれなくても、会長は会社にいるはずだ。アポも取れない状況でも直接会社に行って会うしかない。」
「私も行った方がいいよね?」
「ハニはジュングにまだ話せていないだろ?それにこの問題はオレが解決をするから、ハニは気にしなくていい。」
「うん・・・・」
気にしなくていいと言っても、気にするのがハニだ。
こんなハニだから、オレは好きになったのだ。
「授業はいいのか?」
「あっ・・!そうだった・・行って来るね。スンジョ君も早く大学に戻れるといいね。」
手を振って走って行くハニを、見送るのがこんなに幸せな気分になるとは思ってもいなかった。
オレが大学に戻れることはいつになるのか判らない。
ハニと結婚する前に、ちゃんと会社を立て直して、盛大ではなくてもお前の望むような結婚式を挙げよう。
お袋が何も面倒な事をしなければ。
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