思わぬ同居人 108

「試作品はいらんよ。ゲームはワシらにはついていけないし、プレゼンの時のデモンストレーション用の映像だけで十分理解できたよ。それに君の能力は、この数ヶ月一緒に仕事をしていて判っている。君のお父さんから預かった資料を見たけど、予約状況もいい・・・・あとは発売日を待つだけだ。」 

「ありがとうございます。」 

「そこで、今度うちの孫娘を振って選んだ素敵なお嬢さんと三人で食事をしないか?」 

「え・・・」

 「大丈夫だよ。二人を別れさせたりしないから・・それにヘラは呼ばないよ。君の家に同居しているお嬢さんだろ?ヘラから聞いているよ。」

 この人にはオレは一生勝てないかもしれない。

 強引に話を進める人だと思っていれば、順調に進んでいたヘラとの結婚に向けての話も、会長の顔に泥を塗ったのだからどうされても仕方が無いと思って覚悟をしていた。 


ヘラとの見合いは、もしかしたら会長はオレの何かに気が付いて考え付いた事なのかもしれない。

 ヘラにしても、オレのハニへの想いを知っていたのに、あっさりと見合い話を受けたのも、今となってはもしかしたら、オレに金と引き換えに心を売るなと伝えたかったのかもしれない。

 言い方は悪いが、わなを仕掛けて相手に弱点を知らせる、遠回しなこのやり方が、ユン家の特徴なのかもしれない。


「え~、ヘラのおじいちゃんと?」 

「おじいちゃん?会長だろ。」 

「うん・・ごめん・・・」

 スンジョの鞄を受け取り、脱いでソファーの背に掛けたジャケットを持ち、二階に上がって行く時にハニは幸せそうな笑顔を浮かべていた。 

家族の前でプロポーズをして、スンジョがヘラに、ハニがジュングにお互いの気持ちを伝えてから、ペク家ではこんな光景を毎日見る事が出来た。   


「で、ご飯食べに行く時はどんな服を着て行ったらいいの?」 

「ご飯・・・会食と言え。」 

「会食の時はどんな服がいい?」 

「その短いスカートはまずいな。もう少しスカート丈の長いスーツがあっただろ・・・・大学の入学式に来た・・あれでいいよ。」

 「地味だよぉ・・・・」 

「こんな軽い娘に、自分の孫が負けたと思ったら融資が取り消される。オレと結婚をするのなら、少しはオレに合わせた服装や立ち居振る舞いをしておけ。」

 「はぁ~い。」 

「はぁ~い、じゃない。はい・・だ。」

 何を言われてもハニは嬉しいし、どんなハニでもスンジョは嫌じゃなかった。 

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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