思わぬ同居人 113
数年後にはここにいるみんなが家族になる。
しかしハニはこんなに食べる子だったのだろうか。
この家に同居した時は、オレの顔色を伺って『私はそんなに食べれません』と言っていたやつが、今ではオレの目の前でハムスターみたいな顔をして食べている。
「なに?さっきからずっと私の顔を見て。」
「ハニちゃんが可愛いからよ~」
すかさずグミが言うと、すぐにまたスンジョが口を挟んだ。
「豚になるぞ。」
こんな風に話すスンジョを誰が想像しただろう。
そこにいるみんなのデザートを食べている手が止まり、スンジョの顔を見ると笑顔ではなくても穏やかな顔になっていた。
「ところでみんな・・・・・」
話を変えるように、グミが突然嬉しそうな顔をしてみんなの顔を見ていた。
「来週の水曜日、空けておいてね。」
「ダメだよ。ユン会長とゴルフの約束があるから。」
「キャンセルして!」
「オレも、都合が悪い。」
「スンジョはその都合は大して大事な都合じゃないでしょ?」
またお袋は何か企んでいるな?
ここ数日静かにしていたのが、妙に気になっていた。
確かに大した都合ではないが、お袋にそう言われることはないだろう。
「僕も、友達のバースディパーティが・・・・」
「残念ね、ママの用事の方が優先よ。」
「すみません、奥さん。店の従業員を慰安旅行にと思って・・・・・」
「その予定は、延期していただけない?」
「ハニちゃんは、予定はないでしょ?」
ハニの予定は、あらかじめグミは把握していた。
把握していたから決めれたこのイベント。
「ええ・・・・そろそろ美容院にでも行こうかと思っていたのですけど、おばさんの用事があるのなら・・・」
「で・・・・ママ、何があるんだ?」
「お兄ちゃんとハニちゃんの結婚式よ。」
「結婚式ぃ~??」
「何を言ってるんだよ。オレはハニが大学を出て、会社が軌道に乗ってからって・・・・・」
「ダメよ、それだとずっと結婚するのが伸びちゃうでしょ?パパから医学部に戻りなさいってこの間言われたでしょう。それに医学部を卒業してもインターンシップに、兵役でなんだかんだしているうちに結婚の時期が遅くなっちゃうじゃない。それよりもスンジョの気が変わらないうちにしておきたいのよ。」
「だれの結婚だよ。」
「勿論、スンジョとハニちゃんのよ。結婚したいと言ったのはお兄ちゃんなんだから。」
言った事は認めるが、だからってそう言ってからわずか二週間で結婚式なんて、そこまでお袋の思う様に動かせる気かよ。
向かい側で、座ってオレの呆れた顔を見て笑っているハニの顔を見れば、早い結婚でもいいかもしれない。
そんな風に思うオレも・・・随分と変わった物だ。
「そういう事で、スンジョも了解したみたいだから、みんなよろしくねぇ~」
またまた、お袋の暴走が始まったのかと思うと、オレと同居人のハニのこの先の人生が思いやられる気がする。
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