思わぬ同居人 114
久しぶりの大学は新鮮な気分だ。
こんな風に清々しい気持ちで大学に来る事になったのは、ハニのお蔭で心が楽になったからだろう。
「スンジョ、どこかカフェでお茶を飲んで行かないか?久しぶりの大学だから、お前が休学している時の話をしたいから。」
「今日は、寄る所があるから・・・」
特別に親しい相手でもなかったし、遅れている分を取り戻したいから早く家に帰りたかった。
あれは・・・ハニだ。
アイツ、何をしているんだ?
スンジョは、いつも行動を共にしているハニがミナとジュリと楽しそうにどこかに行こうとしているのに気が付いた。
「さぁ、話してくれる?」
「何が?」
「ペク・スンジョと、何かいい事でもあったの?」
「いい事って言うか、結婚式をおばさんが来週の水曜日にって・・・・」
「来週の水曜日って、日にちが無いじゃないの。式場とかは見つかるの?」
そんな疑問は、だれかに言われなくてもハニも式場が見つかるのか分からなかった。
でも、グミは式場を見つけて予定に入れる事が出来る人だった。
ハニには急に決まった結婚を、人に話すなと言うなと言ったわけじゃないが・・・オレは何を気にしてこんなふうに隠れてハニを見張っているのだ?
スンジョは、ハニたちの後を付けて来ていた。
来週の水曜日に、スンジョ達の結婚式があると言っていたグミと大喧嘩とまでは行かないが、もう少し砂金おばしてくれないかと談判をしたが、聞く耳持たずだった。
ハニとミナとジュリの三人が話している事を、盗み見していた時にさっき医学部で声を掛けて来た男が、スンジョの姿を見つけて近寄って来た。
「なぁ~んだ。お前来ないと言っていたのに来たんだ。」
賑やかな店内にも聞こえるその医学部生の声が気になって、一斉にカフェにいた客が振り向いた。
「オレ達も一緒に座っていいか?ペク・スンジョ。」
スンジョの名前まで出されたら、少ししか離れていないハニたちの席にも、スンジョの名前が聞こえた。
当然ハニたちは、スンジョの名前が聞こえればそれに反応はする。
「スンジョ君・・・どうしたの?」
「いや・・・コーヒーでも飲んで帰ろうかと思って。」
「とか言っちゃってさ・・・ペク・スンジョ。ハニが心配で付いて来ていたんじゃない?」
「まさか!コーヒーを飲み終えたから帰るよ。じゃ・・・」
何事も無かったかのように、会計伝票を持つとスンジョは立ち上がって店を出た。
ヤバイヤバイ・・・ミナ達の言うとおりだとはさすがに言えないし、盗み聞きをしていたのを知られたら、ハニの口は軽いからお袋に筒抜けになる。
スンジョは店を出ると、駐車場に停めてある車に乗り込んだ。
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