思わぬ同居人 118
喧嘩をしたつもりはなくても、ハニを置き去りにして帰って来てしまったのだから、オレが電話を掛けても出てくれないだろう。
「ワシがハニを呼び出すよ。スンジョ君が店に来てくれる時間が決まったら教えてくれればいい。それに合わせるから。」
おじさんが気を使って連絡を入れてくれると言ってくれた。
情けないが、それをお願いした。
自分の取った態度がいけない事は十分に判っているが、こちらから謝ったことも無い事はハニも判っているし、自分から頭を下げない人間でもあった。
家に帰ればお袋からドレスや指輪を早く注文をしないと間に合わないとしつこい位に言って来るけど、そんなに急がないといけない理由は誰が作ったのかと言ってやりたいくらいだ。
オレも相当捻くれているのだと判っているから、少し放っておいてほしいものだ。
スンジョが自分の部屋に入ろうとしている時に、洗面所からしゃがんで独り言を言っている一人ハニに気が付いた。
「おばさんが、早くドレスと指輪を一人で決めていらっしゃいと言うけど、一人で行くほど惨めな事はないよね。スンジョ君が怒ることは判っていたのに・・・・・指輪もドレスもなくてもいいかな?・・・・やっぱり欲しいよ・・・・・・・」
ハニが欲しいことは知っている、だけど思い出して欲しい。
ハニを生んでくれたお母さんに、まだ一度も挨拶さえしていない。
ギドンはハニが今のままの状態でスンジョと出かけるとは思わないが、いつまでも口をつぐんでいてはいけない。
「学校に行くのか?」
「そうよ・・・女三人で、スィーツを食べたり、話をしたりすることは楽しいですよぉ。」
単純なくせに、そう簡単に拗ねた心を真っ直ぐにすることはすぐには出来ない。
いつまでも喧嘩をしたままでいてはいけないけど、親父の会社に半年も勤めていないけど、まだ完成できていない事もあるから、ハニの愚痴や我儘に付き合う時間が少なくて悪いと思っている。
「ハニ?パパだけど・・・・店も休みだし、たまにはデートをしないか?・・・・・すぐに出て来られれば出て来てくれるか?遅くなると夕飯までに帰れないから。」
ギドンは、スンジョにOKサインを出した。
「すぐに出て来ると言ったから、準備だけをして待っていよう。」
こんなオレ達の幼稚な喧嘩にも何も言わないで協力をしてくれるおじさんと、これからもまた頼らせてもらうことになるかもしれない。
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