思わぬ同居人 125
寝付かれないと思っていたが、毎日の習慣なのか知らない間に眠っていた。
喉の乾きを感じて目を覚ますことはあまりないが、これも結婚式の興奮の影響なのだろう。
2階のミニキッチンに備え付けの冷蔵庫の中に冷やしてある水を飲もうと部屋を出ると、その少し前にハニが眠れないのか階段を降りて行く後姿が見えた。
スンジョは下で一緒に水でも飲もうと階段を降りかけると、ハニが誰かと話している声が聞こえた。
「パパ・・・・」
「ぉお・・・ハニ、どうした?ミナちゃんとジュリちゃんは寝ているのか?」
「うん、ふたりとも私の緊張を和らげて睡眠不足にならない様にとしてくれたのに、私よりも先に眠っちゃった。」
「そうか・・・パパも眠れなくてもおかしくないな。明日のヒロインのハニが眠れないのなら・・・・少し酒でも飲んで眠るか?」
ハニとおじさんの嫁ぐ前最後の夜だ。
オレは、降りて行って間に入ってはいけない。
スンジョは、自分の入れない父と娘の最後の時間に邪魔をしない様に、静かに降りかけた階段を戻って自分の部屋に入った。
いつかオレたちにも娘が生まれたら、こんな風に嫁ぐ娘と最後の時間を過ごすのだろうか。
妻が亡くなって再婚もしないで男手一つで娘を育てた。
母親じゃなければわからない事もあっただろうし、結婚の準備もお袋がある程度はやっていたが、おじさんは父親としてではなく親として何を考えていたのだろう。
親父の親友だから親父と親戚になれる事は娘が嫁いで独りぼっちにならないが、それでもやっぱり寂しい事もあるだろう。
おじさんの大切な娘を、これからはオレが大切に守って行きます。
生まれてからこの家に来るまでのオレの知らない18年のハニ。
来てからハニの大切さを知るまでの数年は、その18年よりもオレにとっては大切な数年だった。
その数年があるから、この先ずっと最期の時までハニと一緒にいたいと思う気持ちに自信がある。
自信があるけど、オレは人に合せたりその人のために優しくしたり、気の効いた事など出来ないけど、オレなりの精一杯の気持ちでハニを大切にしていきます。
だからお義父さん、たまにはオレに腹が立つ事もあるかもしれませんが、その時はオレを自分の子供のように叱ってください。
お袋が、ハニを自分の娘のように溺愛しているように、オレをオ・ギドンの息子のように厳しく指導してください。
お義父さんと親父が楽しそうに暮らせるように、オレはハニがして来たように努力をして行きますから。
そして顔を合わせて話をすることの出来ないお義母さんとおばあさん。
あなた達が見たかった最愛の娘は、とても綺麗な花嫁です。
先日の衣装合わせの時のハニは、美の女神が嫉妬するように綺麗で、オレは箱の中にしまっておきたいくらいに思えました。
明日は、髪をセットして綺麗に化粧をしてさらに先日よりも綺麗なハニになるでしょう。
そんな綺麗なハニでも、きっといつものようにドジをすると思っていますが、それもまた彼女の魅力の一つで、オレの心が休まる時です。
明日の結婚式を楽しみにしてください。
顔も知らない話もした事のない、お義母さんおばあさん・・・・・おやすみなさい。
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