思わぬ同居人 126
寝つく事が出来なかったのに、目覚めはスッキリとしていた。
気が高ぶると言うのはこういう事なのだろう。
熱めのシャワーを掛けて、寝不足が判らない様に式場に行きたい。
オレが緊張した顔でハニを迎えては、ハニを守れる男には見えないだろう。
ハニは普段から緊張をし易い性分だし、そんな時にハニはとんでもない失敗をすることは、高校の卒業式の時で立証済みだ。
髪をドライヤーで乾かし整えて、身だしなみの最終チェックをした。
式場でタキシードに着替えてヘアセットはしてもらえるが、それは花婿として整えてくれることで、オレとハニは同居をしているのだから、朝顔を合わせてハニが想うペク・スンジョとして挨拶をしたい。
式場で着替えるから普段着でいいと言ったのに、グミは息子の晴れの日に新しいシャツを用意し、新しいズボンや靴下を用意してくれていた。
いつも同居人のハニを実の娘のように可愛がっていても、いざとなるとグミはスンジョの母親だった。
新婚旅行に行っている間にリフォームをして、帰って来たら二人の新しい部屋になっているからと言っていた。
どこでこんなに急なリフォームを引き受ける業者があったのかと、気にはなっていたがハンダイの名前を使えば出来るかも知れないが、ファン・グミのそのパワーにいくらスンジョでもどうにも抑える力はなかった。
ウンジョの言うように、結局はグミの思う通りの展開で、ハニを好きになって結婚することになった。
この際グミの思うままの人生を送ってもいいのだろうか。
ただの同居人だったハニが妻となっても、変わらない家族の集まり。
スチャンの親友の娘から自分の妻になり、スチャンの親友だったギドンが義理の父となった。
食卓を囲んでいる光景は、もう何年も変わっていない。
「スンジョ、おはよう。」
階段を静かに降りて来たスンジョに気が付いたグミが挨拶をすると、ギドンとスチャンもスンジョの方を見た。
「スンジョが遅いのは珍しいな。」
「すみません、シャワーに長く入っていました。」
「いいよ、今日はいい天気だよ。良き日に天気がいいのはいい事だ。なぁ~ママ、ワシらの結婚式の日もいい天気だったよね。」
「そうね、だからこの日にしたのを、ゴルフが出来ないからって怒らないでね。」
みんなが笑顔で朝の食事をしている、ハニはまだ起きて来ないのか?
それなら来る前に話しておかなければいけない事があった。
「おじさん・・・・」
「ん?」
「結婚を許してくださってありがとうございます。」
「改まってそう言われるとワシも戸惑うよ。」
「今日からはおじさんの息子です。いけない事をしたり言ったりしたら、実の息子と思って叱ってください。」
ギドンはその言葉に対して何も言うことはなかった。
いつもと変わらない笑顔で、スンジョを見ていたのが答えだった。
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