思わぬ同居人 136
「なぁにが、お互い新婚なんだから仲良くしましょうね!・・・・なのよ。女の武器を使って、スンジョ君を誘惑するつもりよ。ああいうタイプはスンジョ君は嫌いよね?」
「さぁ?どうだろうね。」
「どうだろうねって・・・・スンジョ君、ベタベタする女は嫌いだって言っていたじゃない。」
「そうだな。ベタベタする女は嫌いだよ。大丈夫だ、オレは他の女なんかに興味が無いから。特に、ナイスバディはな・・・・・」
ニヤッとスンジョが笑った事にハニは気が付いていない。
拗ねたハニをからかうのは、スンジョの楽しみで癒しの一つだから。
「オレはロリコンなのかな?小学生体型のハニの方が好みかも・・・・・」
通り過ぎたスンジョに追いつき、正面に回り込んで顔を見上げ、必死な様子でスンジョの腕を掴んで嬉しそうな顔をした。
「本当?」
「ああ・・・本当だ。」
まだハニはオレが言った事に気が付いていないのか?
「ん?ちょっと待って・・・・小学生並?・・・・!!」
スンジョはハニが掴んでいる手をそっと放して、ソファーの方に歩いて行った。
「どういう事よ!!」
「そういう事だ。」
「そういう事って・・・・からかったの?」
「からかってないよ、本心だ。オレは、人に興味を持ったのはお前が初めてだし、ずっと一緒にいたいと思ったのもお前が初めてだ。」
そんな一言で直ぐに悲しい顔や怒った顔から笑顔に変わる事が出来るから、ハニの事が好きになったのだ。
心のない褒め言葉や、物でその人を好きになる軽い女がハニだったら、オレは好きになれなかったし、お袋だってオレと結婚させたがらなかった。
そんな時に内線電話が鳴ると、スンジョはハニから離れて電話の所まで行った。
「はい・・はい・・・判りました。」
「なに?」
「オプションの確認だって。」
ホテルスタッフの説明を聞きながら、どのオプションがいいのか、どのオプションをハニが喜ぶのか、そんな事を考えている自分を自分で驚いていたが、意外とそれが普通のことの様に思えて結構これが幸せだと思えた。
初めての夜の夕食の場所に選んだ離れにあるシックな建物は、その外観を見ただけでハニは嬉しそうに笑っていた。
だが、案内されたテーブルに着く時に、甲高い声にまた呼びかけられた。
その声を聞いた時、ハニだけじゃなくオレも嫌な気持ちになったが、たった数日のことだと思い、適当な笑顔をその女と夫の方に向けた。
「良かったら、これも何かの縁だと思うから一緒のテーブルで食べない?」
「はい、そうですね。」
顔は見なくても伝わって来る、ハニの拒む空気。
今夜の食事だけだから。
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