思わぬ同居人 138
背中からの重みは予想以上に重く感じた。
全体重がオレの背中に掛かるのは仕方がないことだ。
酔っぱらって倒れたハニは、全ての力が抜けて肩から垂れ下がる腕がダラリとしていた。
酔いつぶれているとはいえ、一気に飲んだから苦しいのだろう、時々呻き声を上げている。
自分で酒に弱いと判っているのに、あの品のない女に負けたくなくて飲んだが、オレがあんな低俗な女を相手にするはずがないことは判るのに。
片手で背負っているハニが落ちない様に支えて、もう片方の手で部屋のカードキーでロック解除した。
寝室のベッドの上に降ろしても、ハニは起きる気配がない。
靴を脱がし着替えさせて寝かせようとしてハニを起こすが、返事だけで起きる事が出来ない。
「ハニ・・・ハニ・・・部屋に着いたぞ。着替えて・・・着替えて寝ろよ。」
「う・・ん・・・・」
「パジャマをお前のキャリーバックから出してもいいか?」
「ん・・・」
「キャリーバックの解除番号は?」
「ぅ・・・んん・・・・」
何を聞いても、言葉にはならない。
ハニが決めた数字なら大体は見当が付くが、いくら結婚をしたからと言っても、本人の同意が無くては勝手に開ける事も出来ない。
「仕方がない・・洋服だけを脱がして、下着で寝かせるか・・・」
カチューシャとネックレスを外して、ブラウスを脱がそうと手を掛けたがスンジョはその手を止めた。
この状況で服を脱がせて、朝目を覚ました時のハニのする行動が判るから、このままで寝かせる事にした。
「オレに似合う奥さんになるって言っていたのに、勝手に酔いつぶれて初めてのオレ達の記念の夜は、とっても思い出に残る夜になったよ。オレはシャワーに入って来るから、ゆっくり寝ているんだぞ・・・・聞こえているはずはないな。」
スンジョはハニが眠っているのを確認して、静かにドアを閉めてバスルームに入った。
ハニの寝相の悪さは一度体験をしているから覚悟はしていたが、酔っているからあの時よりは静かに動かないで寝ていてくれるからいいが・・・・・ それでもやっぱりハニは、寝返りを打たないことはない。
「仕方がない、こうして眠るか・・・・・」
スンジョはハニの首の下に腕を入れて、自分の方に抱き寄せた。
酔って眠っているから強くは抱けない。
起きていれば、お互いに甘い声で囁いて結婚して初めての夜を過ごしていたのかもしれない。
今日はダメでも、明日はお前と夫婦としての初めての夜を過ごせるように今夜はオレも眠るか・・・・
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