声を出して 12
料理学校のパンフレットを見ては、ハニはため息を吐くしかなかった。
「材料費は当日払いで、授業料は月に10万・・・・それとは別にテキスト代に・・・・入学金も取っているんだからおかしくない?」
自分の小遣いで間に合わないと判っていても、さすがにこの金額を父に頼むわけにもいかない。
今までグミの手伝いをしていても、切ったり盛りつけたり、味見をしたりしていただけで、直接調理をした事はなかった。
「パパのお店で盛り付けとかの手伝いはしたし、小さい頃から培われた舌で味覚だけはプロ以上とパパに言われていたのに、それ以外は・・・・・・」
料理人の娘としてこれではいけないと判っていても、どうしてできないのかが本当に判らなかった。
「ハニちゃん?具合でも悪いの?」
学校から帰って来てから、おやつの時間に降りて来ない事を心配して、グミが部屋に様子を見に来た。
「大丈夫です・・・・夕食のお手伝いの時間ですよね・・・」
「入ってもいい?」
急いでパンフレットを隠そうとするが、それよりもグミが部屋のドアを開けた方が速かった。
「何を持っているの?」
「あ・・・・・・」
グミは、ハニの分のおやつを机の上に置くと、ハニが手にしているパンフレットを受け取った。
「お料理学校・・・・・」
「スンジョ君と結婚する事になったから、お料理を習って・・・大学を出てからだから、料理音痴な私でも今から習えば間に合うかなって思ったけど・・・授業料とか高くて・・・・」
さすがにグミもパンフレットに書かれている金額を見て驚いていた。
「授業料なんて払ってまで習わなくても、おばさんが教えてあげるわ。スンジョは手が込んだ物よりも、普通の料理が好きだし、今からでは間に合わないから・・・・」
「やっぱり・・・・間に合いませんか・・・・・」
グミが言った言葉と、ハニが取った意味は違っていた。
おやつを食べたら元気になるから・・・・と言って、グミはそのパンフレットをまたハニの机の上に置いて出て行った。
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