声を出して 63

じゃあな・・・

と言って、ウンジョは驚いているハニに手を振って花嫁控室を出て行った。

結婚祝いにもらった嬉しい情報でも、一生に一度の今日のこの式は、そんな言葉でも緊張はする。


「花嫁さん、お時間です。」

「あ・・・はい・・・」

ドッキン、ドッキン・・・・

心臓が口から出そうというのが判るくらいに、心臓がドキドキとしていた。

ドレス姿は試着の時に、一度だけスンジョに見てもらったが、その後は喧嘩をして記念写真の前撮りもしていなかった。

実際には今日が初めてスンジョにメイクをしてドレスを着た自分を見てもらえる。


「ハニ・・・・」

目を潤ませたギドンが、娘とバージンロードを歩くために待っていた。

「パパ・・・・」

「ママとおばあちゃんに見せたかったな。」

それはギドンだけじゃなくハニも同じだった。

いくらグミが母親の代わりに、今日の日までの準備を一緒にしてくれても、自分を産んでくれた母親がいてくれたらよかったのにと思った。


ドアの向こうからギョンスが『新婦が入場します・・・・』と言っている声が聞こえると、ウエディングマーチが演奏され始めた。

「よろしいですか?」


スタッフにそう声を掛けられると、ドアが静かに開いた。

知っている人たちばかりでも、一斉に注目をされて一生に一度だけの事だと思うと、緊張をしているのかも判らなくなって来た。

「ハニ、行くぞ・・・」

「う・・・うん・・・」

何かに挑むような、そんな父の掛けた言葉に、ハニは小さく頷いてそう応えた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

0コメント

  • 1000 / 1000