最後の雨 33
「ウンジョ!ほら本を片付けて、ご飯が出来たのだからお兄ちゃんを呼んで来て。」
「ヤダよ、もう少し読みたい。ハニが呼んでこればいいじゃないか、奥さんなんだから。」
「お義姉さんって呼びなさい。」
ウンジョはハニにアッカンベーをして二階にスンジョを呼びに行った。
ハニはグミがウンジョに呼びに行かせてくれて良かったと思った。
今日のスンジョは怖くて、とてもいつもの様に抱き付いて行く隙さえももらえそうになかった。
「お兄ちゃんを呼んで来たよ。」
胸がドキンと言う音が聞こえるくらいに驚いて、それに続いて息が出来なくなるほどドキドキした。
チラッとスンジョ君を見ると、昔みたいに笑いもしなければ何を考えているのかも判らない。
お母さんは私がスンジョ君の横に座らないから、私たちの気まずそうな雰囲気を感じているのか不思議そうに見ている。
何気ない振りをして座る時に、ほんの少し腕が触れただけでもスンジョ君はサッと引いてしまった。
いつもなら、そんなこともしないのに。
別にハニが何かをしたわけじゃないが、ハニの顔を見るのが嫌だった。
もう二度と泣かせないと誓ったのに、ここ最近のオレを見る目がオドオドとして今にも泣きそうな目だ。
オレの顔はきっとすごく怖い顔をしているのだろう。
「あっ!」
小さな声を上げたハニは、ビクビクとしながらオレの横に座るつもりだったのだろう。
こんな態度のオレだからきっと緊張をして、ふらっとして触ってしまったことは判る。
別にそんな事をするつもりはなかったのに、反射的に手を引いたことが自分にも驚いた。
「明日、夕飯はいらないから。」
「あら!研究室にまた泊まりなの?身体を壊しちゃうわよ。それに研究室に泊まってばかりいたらハニちゃんが、寂しがるじゃない。」
「仕方がないだろう、勉強なんだし、他の連中は結婚しているオレに気を効かせてオレがやらなければいけない物も泊まり込んでやってくれているのだから。」
少し嫌味っぽく聞こえたはずだ。
ゴメン、オレ自身がこの今の状況が判らなくて 。
「勉強勉強って・・・・・そんなに医学部が大変なの?
「当たり前だろう、医学と言うのは人の生死に関わる事を勉強をするのだから。」
何か言いたそうにもじもじと下を向いているハニの目から涙が流れていた。
0コメント