最後の雨 68
スンジョ君の気持ちが判ってから最初の登校日。
休み前の合コンの日はずっと気持ちが重くて、息をするのも辛かった。
スンジョ君と結婚をしたものの、私がスンジョ君と結婚したことを快く思わない人たちが言っていたように、スンジョ君にいつ離婚を言い渡されるのかとビクビクとしていた。
飲めないお酒を飲んで、ずっと食欲がなくて食べていなかったから、一口お酒が喉を通っただけで酔ってしまった。
飲んで気持がスッキリするかと思ったら、スッキリなんてしなかった。
トイレに行って、気持ち悪くなったから吐こうと思っても吐けなくて、まるであの時は自分の心の奥で大きな声で泣きたいのに泣けないと思っている時と同じだった。
私よりもスンジョ君の方が、きっと辛かったかもしれない。
失敗ばかりしているドジな私だから、もしスンジョ君に捨てられたらそれはそれでもいい。
スンジョ君との結婚生活で、短い間でも愛情を沢山もらったから。
離婚をする事になってもいいと思ったけど、スンジョ君は医学部だけではなくパラン全体で期待されている人。
だから結婚に失敗をしたという事は、スンジョ君のプライドが許さない。
私みたいに何も出来ない人が、スンジョ君の奥さんになれたのがきっとスンジョ君にとって一番の失敗だったかもしれない。
あの、顔色一つ変えないスンジョ君が、人にどう思われてもいいからと女子トイレまで入って来て、気持ち悪くて苦しんでいた私の口に指を入れて、吐き出させてくれた。
「汚いよ。」
「こんな事なんともない。何も気にしなくてもいいから全部出せば楽になる。」
わたしの嘔吐した物が付いた手を洗っているスンジョ君は、とても優しくて温かく見えた。
あの時言った言葉は、お腹の中の事じゃなくて、心の奥にある言い出す事が出来なかった言葉の事だったのかもしれない。
「おはよう!」
ポンと肩を叩かれて、顔を上げるとヘウンとヒスンとミンジュだった。
ギョルは少し離れた所から、一瞬チラッとハニを見て今日は一番隅の方の離れた所に座った。
「昨日の夜、ハニったら鞄忘れたでしょぅ。家まで持って行ったわよ。」
「え・・・・・・家に・・・・・」
「で・・何だかお母様の言ったことが気になってねぇ・・・・届けるからって・・・・どこに泊まっていたのよ。」
「そ・・・それは・・・・」
言えない。
言えないよ・・・スンジョ君と別居しているなんて。
「いいじゃねぇか。夫婦だからどこに泊まって何をしていようと、オレ達には関係ねぇだろう。授業が始まるからサッサと座れよ。」
今日のギョルは一段と機嫌が悪そうで、長い付き合いのミンジュやヘウン達も言い返すことなく椅子に腰かけた。
「そうよね、夫婦だからどこで、どんなエッチをしようと構わないよね。」
きっとギョルは、ハニをミンジュ達のどこに泊まっていたのかを聞き出そうとしている事から救ってくれたのだろうと思った。
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