スンジョの戸惑い 5
また面倒な事が起きた。
オレのクラスは、テハン大や医歯薬学部・理工学部を目指すエリート育成クラスと言われている。
勉強には必要のない学校行事に参加はしないと思っていた。
いや、今まで参加をしなくてもよかったはずだ。
だけど、オレの知らない時に、勝手にMr.パランの投票が行われていた。
「スンジョ君、おめでとう!」
クラスの女子が、親しげに登校したばかりのオレに言って来た。
「何?」
「パランの人気投票で、スンジョ君が優勝をしたの。一年生が優勝をするのは初めてよ。表彰式に・・・・」
自分が優勝をしたわけでもないのに、やたらと興奮して話しかける。
面倒だ。
「行かない。」
自分にプラスにならない事などどうでもいい。
昼休みに、職員室に向かった時、成績表が貼られる掲示板に人がむらがっていた。
テストの成績表が張られる時よりもその数は多い。
今朝クラスの女子に聞いた、人気投票の結果でも貼られているのだろう。
見つからない様に、その場を通り過ぎようとした時、その集団の中からまた何時もの視線を感じた。
「あっ!ペク・スンジョだ!」
そのまま振り返らず通り過ぎようとした時に見つかった。
「女子の優勝者も一年生だ。記念に写真を撮らないか?」
「撮らない。」
オレの一番嫌いな事だ、写真に写ることは。
運が良かったのか悪かったのか、教頭先生に呼ばれた。
「来週の数学オリンピックの事だが・・・・おい、もうすぐ授業だ、そんな掲示物など見ていないでさっさと教室に戻れ!ペク・スンジョ、ちょっと職員室に・・」
先生、オレも授業なんですけどね・・・と言いたいけど、まあ、写真に撮される所を救われたからいいけどね。
職員室から出てくると、掲示板の前にはもう誰も居なかった。
音楽の授業だから、途中から音楽室に入るのも嫌だし、受験科目ではないし必要な気もしないから受ける気もなかった。
何気なく、誰もいなくなった掲示板が気になり見てみた。
オ・ハニ?
知らない名前だから、4組より後ろだな。
いつの間にか来ていた教頭が、人気投票をバカにするように鼻で笑った。
「くだらない事だから、数日で剥がされるはずだけど気になる様だったら・・・」
ビックリした。
背後霊の様に足音を立てずに近づいた教頭先生がオレの後に立っていた。
「別に気になりません。くだらない連中の楽しみでしょうから。授業に行くので失礼します。」
ご機嫌とりの教頭先生は、オレに纏わる就く女の子たちよりも厄介で鬱陶しい。
気になりません、何て言ったけど本当は気になった。
オ・ハニ・・・・誰だろう。
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