スンジョの戸惑い 8
ドキドキからドックンドックンと、鼓動が大きく深くなる。
胸に抱き締めているこの子の鼓動も、オレの鼓動と同じだ。
廊下を人が通り過ぎて暫くした頃、女の子がもぞもぞと動いた。
胃の辺りに当たる柔らかな二つの膨らみを感じて、スンジョはその子の身体を離した。
「ゴメン・・・・」
何も声を出さず、ただその子は首を横に振るだけ。
「手紙・・・見ていい?」
ビックリした眼が、キャンドルの炎の様に揺れている。
「あの・・・今度・・返事を・・・」
そりゃそうだろう。
いい返事にしろ悪い返事にしろ、どちらにしてもいくらなんでも速答はな・・・
「それなら、明日・・・今の時間に此処で・・・」
スンジョがそう言うと、コクリと頷いてその子は部屋を慌てて出て行った。
緊張をしていたのか、廊下に出て直ぐにその子は何かに躓いてドタンと派手に転んだ。
そんなドジさ加減がなんだか可愛らしく感じて、思わずスンジョはニヤリと笑った。
何故か、心の奥がポワンと温かくなるようなそんな春の陽射しの丘の上で昼寝をしている時の様な・・・
「おい、スンジョ。珍しいな、お前が笑うなんて。」
クラスメートに言われて、その時に自分が笑っていたことを知った。
「何かいいことでもあったのか?」
「いや・・・別に・・・・・」
スンジョは直ぐにいつもの顔に戻って、開いていた本に視線を戻した。
テスト前のこの時期の授業は、ほとんどが自習だから、特別に勉強をすることも無かった。
ポケットに手を入れると、さっき貰った手紙があったことに気が付いた。
試験前のこの時期は、テストに備えての勉強で誰も自分の方を見ることがない。
軽く止められた封印の代わりの可愛らしいシールをそっと剥がす。
カラーペンで書かれた特徴ある女子高生の文字。
____ペク・スンジョ様
あなたは私の事を知らないでしょうね。
私は入学式の時にあなたを初めて見て、夢の中に出て来た王子様にそっくりで一目惚れをしました。それから一人でいる時は、夢の中のあなたを、森の妖精と読んでいるの。
何も言わないでそのまま高校三年間を負えるなら、せめて思い出の一つにあなたへ自分の重いを伝えようと思いました。
なんだ?この手紙は・・・・・
誤字が酷い・・・・・
読んでいるは呼んでいるだろう・・・・それに負える?何に負けるんだ?終えるだろ・・・・重い・・・・重すぎだろう森の妖精なんて・・・
スンジョは一つづ誤字を訂正して何を思ったか大きく“D-”と点数を書いてしまった。
オ・ハニ?
人気投票で優勝した子か?
7組ならこの程度の頭か・・・・・・
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