スンジョの戸惑い 9
いそいそと歩きながら、浮かれ気分で急いで来たのだろう。
オ・ハニは満面の笑顔で、約束した教室のドアを開けた。
「こんにちは!」
手紙を渡しただけで安心したのか、昨日までとは打って変わって堂々としている。
オレは表所を変えずに、添削した手紙をオ・ハニに渡した。
「返事?読んでいいの?」
オレは何も言わずに頷いた。
添削されている手紙を見て呆然としている。
「Dマイナス・・・」
「悪いな、添削をさせて貰った。オレは頭の悪い女が嫌いでね・・・・・そこの椅子に腰掛けろ。」
ハニは無言でオレの言うとおり、示した椅子に座り机の上に添削されて戻って来た手紙を置いた。
「こんな稚拙な手紙で高校生か?今からオレが間違っている所やおかしい所の説明をするから、しっかり聞いておけよ。」
まるでそこは、国語の授業をしている教室のようだった。
スンジョは、ハニのあまりの学力のなさに呆れていたが、それでもハニはスンジョが言うことに一生懸命耳を傾けて聞いていた。
「お前は、どうしてパランに来たんだ?」
「制服が可愛いから!」
大体、勉強が出来ないヤツに限ってそう言う。
「まあ、目標がそれでもいいけど、そんな力が有るならその力を勉強に回せよ。勉強は、誰のためでもない自分のためだぞ。今は困らなくても、いずれ付けは回ってくる。」
「判ってる・・・・でも、私にだって自慢が出来る事があるんだよ。」
ハニはそう言うと、アイドルグループのメンバーの名前を得意気に言い出した。
その分野は、この先の人生に必要のない物だったから知る気もなかったしどうでもよかった。
そんな能力があれば、勉強も出来るのに・・・。
それから、毎日同じ時間・同じ場所で、ハニはスンジョの特別授業が受ける事になった。
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