スンジョの戸惑い 14
「ギドンさん、ハニちゃんが息子のスンジョと結婚すれば良いと思わない?お似合いだと思うのよ。ハニちゃんの笑顔ってすごく温かくって・・・・・お兄ちゃんはあの通り、無愛想で・・・・ただ勉強が出来るだけのツマンナイ子なのよぉ・・・・・私ね、娘が欲しかったの。」
口をあんぐりと開けているスチャンとギドン。
スンジョは、顔がヒクヒクと引き攣るのが判った。
「お袋!!勝手にオレの人生を振り回すなよ。オレにだって好みがあるんだ。」
オレの好みって・・・・・どんなんだ?
「あら?今まで女の子の事は話したことが無いじゃない。」
「女の子なんてオレには必要ないから。」
「だからツマンナイのよ。」
親父がお袋を甘やかすからとんでもないことを平気で言うんだ。
ったく・・・・・ん?
なんだ?
ハニが何か妄想しているみたいな・・・・・・
「スンジョ君と結婚・・・・・・・・」
「そうよぉ~ハニちゃん。私は娘が欲しくて、結婚をすればあなたにはお母さんが出来るの。良いと思わない?」
「良い訳ないだろう。おい!早く荷物片付けろよ、早くしないとドアを閉めて眠れないぞ。」
このままここにいたら、お袋がどんどんと自分の考えている方に引きずり込むだろう。
それに、ハニに釘を刺しておかないと、お袋の性格に合わせるなと。
オレに引っ張られるように二階に上がって来たハニは、せっせと運び込まれていた荷物を解いていた。
風呂から上がり、ハニに風呂に入るように言いに行った時、栗色の長い髪を結んでいるその後ろ姿に、不思議な感情がまた湧き上がって来た。
白くて細いうなじが妙に眩しくて、オレは釘付けになり動けなかった。
「お兄ちゃん?どうしたの?」
ウンジョのその声に驚いたのは、ハニじゃなくオレの方だった。
「ウンジョ・・・・・いつからそこにいたの?」
「今、来た。」
「えっ?お兄ちゃん・・・ぐぐぐ・・・・」
ウンジョの口を塞いだ。
「風呂に入れ。」
オレはそう言うとウンジョを連れて自分の部屋に入った。
ずっと静かだった家が、なんだか急に明るく華やかな雰囲気に感じられた。
ウンジョの静かな寝息を聞きながら本を読んでいると、バスルームからハニの歌声が聞こえて来る。
ポップスのようでオレの知らない歌だけど、多分所々音がズレテいるのだろう。
本を閉じて、頭の下で手を組んで天井をボウッと見ながら、湯船に浸かり音のズレタハニの歌を聴いていた。
こんな生活もオレには有りかな・・・・・・なんて思った。
水を飲みに行って戻って来た時、バスルームから出て来たハニと会った。
濡れた髪を包むタオルがうまく巻けないのか手で押さえて、ハニはスンジョに風呂上がりの姿を見られて恥かしそうにしていた。
上がっている手で、パジャマの裾から見える白い肌や、シャンプーの香りが温まった身体からその周辺に広まって行った。
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