スンジョの戸惑い 15
ベッドに潜り込んでも頭から離れない、ハニの白いうなじに白くて細い腰。
女の子の好みそうな甘いシャンプーの香りもしっかりと記憶されて、いつもよりも遅い時間で眠いはずなのに眠れない。
寝返りを打って時計を見ると、デジタル時計10時45分を過ぎたところだ。
別に普通の人なら遅い時間ではないが、スンジョはいつも9時には眠るから、2時間近くはそんな状態が続いていた。
女の子なんて興味など無かった。
女の子というより他人に興味が無かった。
「お・・お兄ちゃん・・?・・どうしたの?」
「ゴメン、ウンジョ。起こしたか?」
「ううん・・・・・まだ寝てなかったから・・・」
スンジョはベッドから出るとウンジョのベッドに行き、スンジョの動きを追っていた弟の頭を優しく撫ぜた。
「水を飲もうと思ってたんだ・・・・ウンジョは、もう寝ろよ。」
スンジョに言われてウンジョは頷いて目を閉じた。
静かな廊下に出ると、無意識にドアの隙間から光が漏れているハニの部屋の方を見た。
ヒソヒソと話をしている声が微かに聞こえて来た。
ドアの前に立ち、聞くつもりはなかったが、耳を澄ませてると、ハニは誰かと携帯で話をしていた。
何やってんだオレは・・・・・・・
スンジョはキッチンに行き、冷蔵庫の中からピッチャーを出して、それをコップに注ぐと水をグッと一気に飲んだ。
お腹の奥までスーッと沁みるような、冷えた水の温度が気持ち良かった。
学校で話をしていても、ハニに特別の感情もなかったが、同じ家に住むことになった途端、妙に落ち着かなかった。
トントンとウンジョと違う階段を下りてくる足音に振り返ると、イチゴ柄のパジャマを着たハニが鼻歌を歌いながら降りて来た。
「あっ!スンジョ君・・・・・・」
「お前・・・・お前のせいで眠れないだろう。」
「どうして?・・・・・電話の声?」
「ああ・・・もう少し、小さい声で話せよ。」
ハニと階段ですれ違う瞬間に、女の子の甘い香りが微かに香り、スンジョの心臓がトックンと跳ねた。
大きく深呼吸をすると、ハニは不思議そうに見ていた。
「お前・・・・・ガキみたいだ。イチゴ柄のパジャマで・・・・・・。そんなの着てたら、お袋の思う壺にはまらなく済みそうだ。」
ハニが通り過ぎたオレの背中にアッカンベーをした瞬間に振り向いた。
「バ~カ。まるでガキだな、そんなことをするのは。」
ハニがアッカンベーをして動きが止まったままオレを見ていた。
子どもみたいなハニを、からかうのも結構面白い。
スンジョはそう思うと、ニヤッと片方の口角を上げて笑った。
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